京セラ・KDDIの創業者である稲盛和夫という偉大な人物は
数々の書籍を残しているが
その中で最も評価が高く
日本でなく世界中で大ベストセラーとなった(現在は150万部突破してる)
この『生き方』という書籍は
あらゆる自己啓発書で述べられていることが集約された
オールインワンな“究極の自己啓発本”とも言うべき内容だった
稲盛和夫は決してあらゆる書籍から情報をキュレーションしたわけではない
すべて自分自身の人生経験からその真理に気づいて語っている
そのことがこの書籍の価値・説得力・現実味を与えている
誰かが言ってたことを自分で実践もせず転載してるだけの書籍とは違う
「生きた言葉」であることが大きい
利他の心
稲盛和夫の信念でもありこの書籍のメインテーマでもある
「利他の意識」
「他者貢献」
「世の中に役立つ(人のためになる)」
これらはあらゆる書籍でも述べられていることだが
稲盛和夫はこれに人生を賭けて取り組んだ実業家である
口先だけで綺麗事を言っている悪質セールスとは全く次元が違う
「思い続ければ実現する」
稲盛和夫は「思い続ければ実現する」という考えを大事にし
そして実際思ったことを実現してきた
これは「引き寄せの法則」や「成功哲学」などの書籍で
これでもかと語られていることではある
しかし、これも稲盛和夫が身をもって体感してきた事例と共に
それを教えてくれるから説得力が違う
返報性の法則
「良い行いを続ければ良いことが自分に返ってくる」という考え
これも各所で言われている「返報性の法則」の一部である
稲盛和夫はそれが返ってくるまでに時間がかかることもあるとも述べている
「できる」と思うことの重要性
稲盛和夫はポジティブマインドを重視していて
どんなに実現困難なことであっても
「できる」と思い続けることで実現してきた経緯がある
これは松下幸之助のセミナーに参加した際に
松下幸之助困難なテーマを掲げた際に
「それができないから困っている」と問い返す参加者に
「まず“できる”と思わなあきまへんなぁ」と返した姿を見て学んだ姿勢だ
逆に「できない」と思ってしまったら
やればできたことさえできなくなることもこのことから学べる
「火事場のバカ力」(潜在能力解放)もポジティブな思考によって引き出されると述べ
ネガティブマインドからはそのような超人的な力は出てこない
実際に手足を動かすことの重要性
ノウハウコレクターに多いことだが
あれこれ情報ばかり集めても実際に何も行動・実践していない人間が多い
稲盛和夫は本田宗一郎のセミナーに参加した際に
本田宗一郎が参加者を「高い金を払ってこんなところに来ても何も学べない。
実際に手足を動かして働く中から本当に大切なことが得られる」と罵倒した姿を見て
畳水練の無意味さを痛感してそれ以降は実際に「まず行動する」マインドを得た
「今この瞬間」を真剣に生きることで「神のひらめき」が得られる
「今この瞬間」に集中するというのは「マインドフルネス」として認識され
瞑想などで精神を集中させその境地に至ることで
脳機能の活性化や仕事のパフォーマンス向上に繋がることがわかっている
ただ必ずしも瞑想をしなくても
稲盛和夫は「今この瞬間(課題)」に常に真剣に向き合っていた
瞑想中にマインドフルな状態になると脳機能が活性化し
その状態で思考すると様々なひらめきが得られることが多いが
稲盛和夫は瞑想などに頼らなくても普段から「マインドフル」な状態を維持していた
1つのことに絞って考え続けることでひらめきを得る
いろんな仕事を複数抱えると脳が疲弊してパフォーマンスが落ちる
1つのことに絞って集中した方が脳はしっかり機能する
これはグレッグ・マキューンの『エッセンシャル思考』などでも述べられている
また1つのことを考え続けると
脳の「脳幹網様体賦活系(RAS)」神経が働き
そのことに関連した情報だけを脳が集めるようになり
成功に繋がるひらめきが得られやすくなることも脳科学分野で判明している
稲盛和夫はそのような知識が広まる以前から
「エッセンシャル思考」を自ずから実践していたのである
小さな成功でも大きく喜ぶ大切さ
稲盛和夫は実験で些細なことがうまくいっただけで
とびあがって「やったー」と大喜びしてはしゃぐ性格だった
共同研究者に「そんなことで大はしゃぎするなんて」と軽蔑されたが
喜びを全身で体感することは重要だと語って聞かせた事例がある
これは自己肯定感を高める行為として
様々な書籍でも推奨されていて
自己肯定感が高まることで
あらゆることにポジティブに取り組めるようになる
絶対的な自信と自分軸が形成されるのだ
教育観
稲盛和夫は日本の学校教育にも疑問を投じている
型通りの教科書に沿って決まった内容を教えるだけの教育によって
その成績の良し悪しによる学歴のみで人間の価値を判断する学歴社会が形成され
その結果受験勉強の成績だけが良いだけで人徳は欠如し
善悪の区別もつかない人が企業や国のリーダーになってしまっている問題点を挙げ
このままでは国が滅びると危惧していて現実その通り国は悪くなる一方
さらに教える側の教師でさえも
「時間の切り売り」の対価として教えているだけというマインドの人が増え
生徒と全身全霊で向き合いその成長に責任を持つ「聖職」という意識も欠如し
「面倒なことはしたくない」と自分のプライベートを優先する思考になっていて
これが教育の荒廃に繋がり人間的に未成熟な「形だけエリート」を量産し
社会の崩壊に繋がっていると述べている
学校教育の時点で人格教育や
「利他の心」を義務教育として学ばせておけば
Giveの精神に溢れた大人が増えることで
経済も活性化し人間関係も円滑になり今のような「非寛容社会」にはなっていない
どれだけ良い世の中になるのかは容易に想像がつくから
この指摘は本当に的を射ている
また、生徒の特技・特性を伸ばし世の中にある職業を広く教えて
その職業に興味を示したらどのような資格を取れば良いかなどを指導する
「職業教育」の必要性にも触れていて
これはモンテッソーリ教育にも通じる考えを示している
人生の方程式
稲森和夫は人生・仕事の結果は以下の方程式によって得られると考えている
「人生・仕事の結果=熱意×能力×考え方」
この「熱意」・「能力」・「考え方」の各要素について解説する
熱意
この熱意は人生や仕事に対する情熱であり努力する心のこと
自分でコントロールできるもの
0点から100点まで数値化できる
これがゼロだと続く「能力」の数値がどれだけ高くても
得られる結果もゼロになってしまう
能力
先天的な才能や身体能力・健康状態や容姿など
学んだり習得した知識やスキル・学歴なども含まれるが
主には先天的な要素のもの(「知識や学歴より地頭の良さ」のような考え)
これも0から100まで数値化できる
考え方
稲森和夫がこの方程式で最も重要視している概念で
これ次第で人生そのものが決まってしまうほどのもの
これは心のあり方や生きる姿勢のことで
0よりも下の「マイナス」まで存在し
マイナス100からプラス100まで数値化できるもの
これが歪んでいたり汚れた状態であると
数値はマイナスになるので
「熱意」と「能力」がどれだけ高くても
マイナスを掛け合わせることで合計の数字も
マイナスになってしまう
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